本田 “巧さ”の極意とは
勿体なかった。前半7分、ユライ・クツカの折り返しをゴール前でフリーで受けながら、左足のシュートはゴールの上に浮いてしまった。結果が重視され、分かりやすいミスは叩くイタリアのこと、本田圭佑に対しては芳しくない評点が付けられるかもしれない。
ただ本田は、攻撃面で必要とされる仕事は果たした。ミランはアレッサンドリアから前半に3点を奪って勝負を決めるが、そのうち2点は本田の技術と戦術眼によって生み出されたものだった。
まずは前半20分の先制点。マリオ・バロテッリのバックパスを受けて前を向くと、前方でDFラインの裏をとろうと動きだしを掛けたジェレミー・メネズを確認。そしてダイレクトで、DFラインの裏へと落ちる山なりのパスを出した。これがダッシュを掛けたメネズの足元にピタリと落ち、あとは落ち着いてシュートをねじ込むだけとなった。
そして、事実上試合を決めた前半40分のチーム3得点目。エリアの右でボールを受けた本田は、中を向いて左足で小さくシュートフェイントを入れる。これでDF2人シュートコースに釣ると、大外に走り込んだアンドレア・ポーリの足元へコンパクトなタッチでパスを入れた。このワンプレーで棒立ちになった相手DFを尻目にポーリはやすやすと中央へ折り返し、フリーになっていたメネズが押し込んだ。
その他前半、相手ゴール前まで進攻するアクションはほとんど本田を経由したものだった。バロテッリのパスに反応して裏へと飛び出し、ヒールでメネズへバックパス。先の展開を考え、中盤のスペースに飛び出す味方にパスを出し、チームがボールをロストすれば高い位置から奪取を図る。戦況を読み、周囲との連携の中で技術を用いる。本田の巧さとはこういうものだ。