18歳以下の選手の国際移籍を原則禁止としているFIFA
FIFAの懲戒委員会は、2016年1月14日、スペインのレアル・マドリーとアトレティコ・マドリーに対して、18歳未満の選手の移籍や登録等に関して違反があったことを理由として、罰金(レアルは360,000スイスフラン:約4100万円、アトレティコは900,000スイスフラン:約1億400万円)と2期間における補強禁止処分を課すと発表しました。またあわせて、90日以内に正常化の措置をとることとされました。
1.処分の根拠となる規定
この問題に関して、まずはFIFAがどのような規定に基づいて処分をしたのかをみていきます。
(1)懲戒委員会による処分
懲戒に関する規定(FIFA Disciplinary Code)の76条において、懲戒委員会はFIFAの各規定の違反に対して処分を課す権限が認められています。また、懲戒委員会は、法人(団体)に対して、移籍禁止や罰金の処分を課すことができ、(同規定10条c、及び12条a)、そのために必要な調査を職権で行うことができます(同規定109条)。
本件では、懲戒委員会により、移籍マッチングシステムに基づいた調査がされ,罰金と補強禁止の処分がされました。
(2)移籍禁止に関する規定
FIFAが定める選手の移籍等に関する規定(Regulations on the Status and Transfer of Players)(以下「移籍規定」)の19条1項では、18歳以下の選手の国際移籍を原則として禁止しています。
この禁止の例外としては、
・両親がサッカーとは無関係の理由で移住した場合
・選手が16歳から18歳まででEUもしくはEEA内の国の間で移籍がされた場合
・選手が国境から50km以内に住み、移籍先クラブがその国境から50km以内に位置しているとともに、選手の住所と移籍先クラブの距離が100km以内である場合
が認められています(移籍規定19条2項)。
今回の処分では、どの選手が違反の対象となったのかといった具体的背景はFIFAの声明からは明らかではありません。