複数のドイツクラブ、Jからもオファー。なぜトルコに?
2014年ブラジルワールドカップ(W杯)での招集を有力視されながら、まさかの落選という憂き目を見た細貝萌。直後に発足したハビエル・アギーレ前監督体制の日本ではアンカーでの定位置獲得が有力視されていたが、2014年のブラジル戦(シンガポール)惨敗を機にチームから遠ざかり、1年半近い時間が経過している。
その間、彼を取り巻く環境は劇的に変化した。所属していたヘルタ・ベルリンでは2015年2月、ヨス・ルフカイ監督が解任。後を引き継いだバール・ダルダイ現監督は、前任者に重用されてきた細貝を外すという予想外のテコ入れを図った。
本人も巻き返そうとした矢先に帯状疱疹が悪化し入院。14/15シーズンは不完全燃焼感を拭えないまま幕を閉じることになった。それでも彼は心機一転、新シーズン挑もうとしたが、ダルダイ監督の冷遇は変わらず、昨年8月末の移籍期限ギリギリでトルコ・スーパーリーグのブルサスポルへのレンタル移籍を決断。未知なる異国の地・ブルサへと赴いた。
「代表はもちろん好きだし、気になるし、行きたいと思う。それは当然のこと。圭佑(本田=ミラン)や佑都(長友=インテル)、オカちゃん(岡崎慎司=レスター)といった同級生もコンスタントに活躍してるし、また一緒にプレーしたい気持ちもありますからね。
代表を第一に考えるのなら、ドイツに残った方がよかったのかもしれない。実際、ドイツ1・2部の複数のクラブから声をかけてもらいました。僕に直接電話をくれた監督もいましたね。Jリーグからもいくつもオファーがあった。本当に有難いなと感じました。
だけど、自分の人生を考えた時、慣れた日本やドイツ以外の国に行った方がいいとひらめいたんです。言葉も通じず、知り合いもいない未知なる環境の方が自分の将来に必ずプラスになると感じた。
その時点でいったん代表のことはいい意味で割り切りをつけました。ブラジルで落選した時も家族や友達、応援してくれた人たちを裏切る形になり、本当に申し訳ない気持ちになりました。だけど僕は代表復帰より自分自身の今を充実させることが大事だと思ったんです」と彼は素直な本音を打ち明ける。