【後編はこちらから】 | 【サッカー批評issue58】掲載
パネリスト
後藤健生(ジャーナリスト)×山本浩(元アナウンサー)×佐山一郎(作家)× 黄慈権(ジャーナリスト) 構成:植田路生
五輪で掲げられた政治的メッセージ
――ロンドン五輪で男子が4位になりました。まず総括として収穫と課題をお伺いしたいのですが。
後藤健生(以下、後藤)「予選から直前の準備試合まであんなにスカスカだった守備が改善されて、前線も頑張った。攻守共によく走ったと思います。ただやはり、ああいうサッカーを中2日の日程で6試合も続けることは絶対不可能。他のオプションがあのチームになかった。そこが女子との違い。あとはCFとCBを、これからどう育てていくのかという課題がはっきりしてきたと思います」
佐山一郎(以下、佐山)「1つの大会で6試合戦える機会がなかなかなかったですよね。目標とするワールドカップでのVは『天国への7つの階段』で長丁場ですからね。関塚ジャパンはラマダン(断食月)の時期と重なるチームが2つあって、ラッキーでした。ただ、銅メダルがかかった6試合目は、韓国の得意な“ドタ入り”ゴール」
――ドタ入り?
佐山「例えば取材で閉めようとする部屋へ押し入って『どうしてもお願い』と言えば、ドアを開けてくれるんです。昔やった鄭夢準(チョンモンジュン)氏(大韓サッカー協会名誉会長・FIFA名誉副会長)のインタビューのときなんかが、完全にそれ。彼が行く先々に付いて行ってインタビューをする。ブツ切りになってしまう強引な取材に対しても平然としているんです。その代わりドタキャンが得意というのも困った話なんだけど(笑)。韓国のゴールはそんな“ドタ入りゴール”2発という印象でしたね」
黄慈権(以下、黄)「それは韓国っぽいですね。雑誌とかでも、勝手に企業の広告をスキャンして入れて、後で金払えって雑誌もあったし」
佐山「勝負の分かれ目は些細なところにありました。大津祐樹はなんであんなに痛がりなのかな。柱谷兄弟以来ですよ(笑)。そのうちに審判がもう騙されないぞっていうモードになって、ファウルをもらえないどころか先制点の起点になってしまった」
山本浩(以下、山本)「大津が倒されても笛が吹かれなかったのは、レフェリー間のブラックリストに載っちゃってたからだったと思うんですよ。準決勝では最初から吹かれませんでしたよね」
後藤「ナイジェリア・ワールドユースの時の本山のように」
山本「そういうレフェリーのスタンダード問題も経験できたのは大きいですね」