テリー、退団発言の真相とは
1月末のFAカップ第4ラウンド終了後、ジョン・テリー自身の口から伝えられたチェルシーでの「今季限り」。ファンの1人としては「なぜ?」と思わざるを得ない。
テリーはチーム唯一の生え抜きレギュラーにしてキャプテン。18年前の1軍デビュー当時から人一倍声が出たCBは、なるべくしてリーダーとなり、獲得した主要タイトルは国内外で14を数える。「ここで現役を終えたい」という当人の望みが叶えられて然るべきチェルシーの英雄だ。スタンフォードブリッジの観衆は、2月に入ってからのホームゲームでウォームアップの段階から「残ってくれ!」とテリーに歌いかけている。
もっとも、一部には敢えて歌わない観衆がいることも事実。テリーは「ファンを交渉手段として利用している」と、彼らは言う。
テレビカメラの前では「2、3日で気持ちの整理がついた」と言っていたテリーだが、チェルシーへの思いが強いからこそ、新1年契約を提示する意思のないクラブの態度に傷つき、怒りに近い感情さえ覚えたに違いない。だからこそ、既にトップ4上昇が望み薄なリーグ戦ではなく、タイトル獲得の目標が残されているFAカップでの大勝(5-1)後に、「今季が最後」と発言してクラブにプレッシャーを掛けた。
チェルシーは慌てて「契約延長の可能性は残されている」とする声明を出したが、テリーは翌週のマンチェスター・ユナイテッド戦(1-1)後にも、「自分の気持ちは伝えたけど話し合いは行われないまま」と発言。「気持ちは伝えた」とだけ言って口を噤むことができないあたりは、良くも悪くも自己主張の強いテリーらしい。