フットボール・インテリジェンスの高さを示したシャヒン
誰もが度肝を抜かれた。ヌリ・シャヒンが先発に名を連ねたのだ。2016年2月18日、ヨーロッパリーグのラウンド32=ボルシア・ドルトムント対FCポルトの試合が始まるおよそ1時間前のことだった。メンバー表の11人の中に、確かにシャヒンの名前がある。
前日の17日の会見でBVBの監督トゥヘルは「ロマン・バイデンフェラー、ヌリ・シャヒン、イルカイ・ギュンドアンは少し体調を崩している。今日の練習には恐らく参加しない。明日の試合への出場は疑わしい状況だ」と説明していた。
シャヒンの先発について、試合後に香川は「正直、びっくりしました」と話した。そしてそれは香川だけではないだろう。トゥヘルを除く誰もが驚いたのではないだろうか。遂にシャヒンはピッチに戻ってきた。実に355日ぶりのことである。
試合でシャヒンは基本的にバイグルとツー・ボランチを組んだ。積極的にスペースに顔を出してボールを引き出し、正確にパスを捌いた。生粋の「6番」として、短く、長くボールを蹴った。存在は頼もしい。
香川が「まだ1試合目だから、これからもっと上がってくると思います」と言うように、まだ本調子には遠い。6分と、早い時間帯にピシュチェクが先制に成功したことも、プレーに余裕をもたらしたところもあるかもしれない。それでもトゥヘル体制では初めて公式戦でプレーすることを考えれば、そのフットボール・インテリジェンスの高さを改めて示す格好となった。
トゥヘルは「ヌリはスーパーだった」と言う。
「彼は常に油断がなく、パスは上手く、知性に溢れ、我々が数的優位を持てるスペースへの直感が上手く働いたね」