怠ったボランチへのケア。見習うべき勝利への執念
――10月16日、ポーランドのブロツワフで行われた日本対ブラジルの試合をどう見ましたか?
「日本のプレー内容は、決して悪くなかった。4点差の敗戦という結果は、試合内容を忠実に反映していない。この欧州遠征の最初のフランス戦で勝ったこともあり、ザッケローニ監督は無理を承知であえて攻撃的にプレーさせ、現時点における問題点をすべて洗い出そうとしたのだろう。一方、セレソンは最近では一番の出来だった。日本のレベルの高さがセレソンの良さを引き出したとも言える。ただ、私は日本と日本人が大好きなので、結果に関しては非常に残念。勝ったのは私の母国の代表なんだけどね(笑)」
――日本の立ち上がりについては?
「高い位置でブラジル選手にプレッシャーをかけ、ボールを奪うとしっかりつなぎ、積極的にゴールを目指した。日本が目指すべきスタイルのフットボールを実践していて、とても良かった」
――しかし、12分、ブラジルはパウリーニョのミドルシュートで先制します。
「残念なことに、私の(鹿島アントラーズ時代の)教え子である内田がDFダビド・ルイスからのロングパスの処理を誤り、オスカールにボールを渡してしまった。日本選手はオスカールの左右を疾走するカカ、ネイマールらに気を取られ、後方から駆け上がってくるボランチのパウリーニョを誰も見ていなかった。ブラジルは、チャンスとみればボランチもサイドバックもどんどん上がる。そのことは日本選手もよくわかっているはずなのに、注意を怠った。世界の強豪は、こういうミスを絶対に見逃さない。日本にとって良い教訓になったと思う」
――前半26分のブラジルの2点目については?
「右からのクロスを今野がスライディング・タックルで止めようとした際にボールが手に当たったわけだが、あれは意図的なハンドではない。明らかな誤審で、日本にとって不運だった。しかし、その後の日本の戦い方はいただけなかった」
――具体的に、何がどうまずかったのでしょう。
「2点リードして、ブラジルはラインを少し下げて守り、相手ボールを奪うとカカ、オスカールにボールを集め、ネイマールとフッキを日本の最終ラインの裏へ走らせて追加点を狙うのは目に見えていた。だから、日本が焦って闇雲に攻めたらブラジルの思うツボ。まずは落ち着いて守備を建て直し、攻守のバランスを保ちながら反撃すべきだった」