途中交代となった本田
「(ボローニャDFアダム・)マシーナが警告を受けていた。そこでチェルチの突破で1対1を仕掛けさせ、退場に追い込んで数的優位を作ろうと考えた。あのサイドで使えるのはベンチには彼しかいなかった。その後ビッグチャンスも得ていた」
6日のボローニャ戦、右サイドハーフとして出場した本田圭佑は、後半20分にアレッシオ・チェルチとの交代を命じられた。いつものように、サン・シーロの観客からは容赦のないブーイングが浴びせられる。交代の理由についてシニシャ・ミハイロビッチ監督は冒頭のように述べた。
「5回もGKと1対1になるような展開がありながら活かせなかった」と指揮官は嘆いたが、そんな展開の中で本田が真っ先に取られた。縦パスを受け裏のスペースに出ながら折り返しをGKに阻まれた前半26分、ゴール前でこぼれ球を押し込めなかった後半11分のビッグチャンスを生かせなかったのは痛かった。
シーズン序盤、ミハイロビッチ監督が本田を引っ込める時の理由は「ゴール前で物足りない」というものだったから、そういう経緯を考えても致し方のない決断だったのかもしれない。
だが、プレー自体は決して悪くないように見えた。ダイレクトパスでイニャツィオ・アバーテをスペースへといち早く走らせたり、早い球離れと縦パスで的確に展開を作り出したりしていた。相手の激しいプレスで体を当てられながらもパスを回し、時にはサイドで自らが体を張ってスペースを捻出する。マシーナに1枚目のイエローカードをもたらしたのは、他ならぬ彼の突破だ。
ゴールという結果に結びつかなかったから過剰に褒めることは出来ないが、ミスを繰り返したこの日の攻撃陣の中ではクレバーにプレーしていた方だ。少なくとも執拗なプレスの前でボールを失ったり、パスの出しどころに困って展開をスローダウンさせたりという悪い時の凡庸さはなかった。