強豪国との対戦を見据えた改革
ハビエル・アギーレ前監督の契約解除を受け、昨年3月にボスニア・ヘルツェゴビナ出身のヴァイッド・ハリルホジッチ氏が日本代表監督に就任して10ヶ月が経過する。「攻守に全員が関わらなければならない」と主張するハリルホジッチはプレーのスピードアップを押し進めてきた。
その象徴的なプレーとして、ハリルホジッチ監督が常にあげるのは3月31日のウズベキスタン戦で岡崎慎司が決めた2点目だ。素早い攻守の切り替えから相手の守備の背後を突き、短い時間で香川真司を起点に乾貴士、太田宏介が絡み、最後に岡崎が押し込んだという流れだ。
だが、言い換えると就任して2試合目で披露したそのゴールを超える様な形をその後、なかなか理想的な形を実現できていない。その理由の1つは、二次予選で日本の対戦する相手がウズベキスタンのように前から来るチームではなく、90分の大半で引いて守られる状況が続いていることだ。
その相手に対して、相手を引き出して揺さぶる戦い方もあるはずだが、ハリルホジッチ監督はむしろスピードの不足を指摘し、さらに素早く、アグレッシブにゴールに向かうことを要求している。“ごり押し”にも見えるその行為は来る最終予選、さらにはその先に待つ世界的な強豪との対戦に備えたものであるだろう。
スピードアップと言っても、がむしゃらに縦を狙うわけではない。ワンタッチをベースにクサビとリターンを織り交ぜ、なるべく相手のスペースを突いて効率よくゴールに迫る。そしてフィニッシュの局面には3人、4人がペナルティエリア内に入っていく。
確かにサイドをやぶってクロスを上げた場面などを検証すると、過去の代表チームよりもゴール前に入る人数が多い。局面に関わる人数の多さは守備面にも表れており、ボールを奪う位置も高くなっているのが分かる。