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セリエA 12年前

長友佑都と森本貴幸の現在地(後編)

『イタリア組の光と陰、そして未来』
言わずもがなセリエAは過酷なリーグだ。たった1試合のパフォーマンスでベンチに追いやられることもざらにある。そんな厳しいリーグで奮闘するジャポネーゼの現在地を探ると共に、彼らの未来を占う。

text by 神尾光臣 photo by Kenzaburo Matsuoka


イタリアでもがく森本貴幸【写真:松岡健三郎】

【前編はこちらから】 | 【フットボールサミット第9回】掲載

もがく森本貴幸 この状況を打破するには…

 長友がインテルで意気揚々と過ごす一方、カターニアに戻ってきた森本はもがいている。

 インテル対フィオレンティーナ戦と同日に行われた第6節ボローニャ戦では、チームが大敗したにもかかわらず、出場のチャンスは巡ってこなかった。

 2年続いた不振にピリオドを打とうと、心機一転で臨んだ前所属先のノバーラでは、結局故障に振り回されてしまった。昨年11月に膝の具合が悪くなり、検査の結果半月板の洗浄手術を決行。しかし、それで良くなったと思いきや、今度は周囲の筋肉が弱くなっていたことが判明。1月の移籍市場ではキエーボにレンタル移籍するという話もほぼ決まりかけていたが、なんとメディカルチェックではねられるという異例の事態に陥った。

 そして、本人が戦列から離れている間、降格圏に陥ったノバーラはベテランのフォワードを2人も獲得していた。しかし、結局は降格。怪我に泣かされるという不憫な理由はあったものの、地元ファンからは「期待を裏切った新戦力」とみなされ、試合ではブーイングを受ける立場に甘んじていた。

 シーズン後、カターニアは共同保有となっていたパスを買い戻してまで、森本を帰還させている。半年で7ゴールを挙げた08‐09シーズンの活躍を、まだ彼らはまばゆい記憶として残している。実は森本は10月のノバーラ対カターニア戦で、古巣を相手にゴールを決めた後、うっかりガッツポーズをしてしまい、「今まで応援してくれた古巣のファンに敬意を欠く行為だ」と、少なからずカターニアのサポーターを怒らせていた。

 もっともその彼らも、夏のプレシーズンマッチでは森本に拍手を送っている。18歳で日本から移籍し、カターニアの下部組織で育てられた彼は、地元出身の選手と同様に思われているふしがある。結局、移籍オファーがなかったこともあり、彼はカターニア残留を決意した。

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