いきなりの大会方式変更が物語るあやふやさ
2015年シーズンの「Jリーグチャンピオンシップ」(以下、単に「CS」と略称)は、決勝戦でガンバ大阪を下したサンフレッチェ広島の勝利で幕を閉じた。この結果、今年からあらためて導入された2ステージ制における初代の年間王者のタイトルは、広島の頭上に輝くことになった。
CSが終わった数日後、Jリーグは、来季から大会のレギュレーションを変更する方針を打ち出した。
概要は以下の通り。
今季のCSは、年間勝ち点1位を決勝にシードしたうえで、ステージ優勝の2チームが準決勝まで対戦しないように試合を組んでいた。が、来季からは、ステージ優勝チームより、年間勝ち点の2位と3位を優遇して対戦カードを組む。
また準決勝までは90分で決着がつかない場合、延長戦を行わず、年間勝ち点上位のチームが勝ち進むこととする。ホーム&アウェイ方式の決勝についても、2試合を合わせた成績が同じ場合は、年間勝ち点の1位を優勝とする方式に改める。
なるほど。サポーターの声に耳を傾けて、レギュレーションを改善した点は評価しなければならないだろう。
しかし、逆に考えれば、導入初年にいきなり大会のレギュレーションを変更せねばならない事態に立ち至ったことは、この大会がいかにあやふやな基準で開催されていたイベントであったかを物語っているとも言える。
つまり、CSはおっかなびっくり始まって、いきなり軌道修正しているわけで、なんというのか、前方のスペースに当てずっぽうで蹴飛ばしたロングボールみたいな、およそ戦術的意図の不明なパスだったわけだ。
ついでに言えば、CS終了後にリーグに寄せられたサポーターの声は、出場チームの対戦の順序や勝利条件の設定といった細かい話よりも、もっと根本的な部分に集中していたはずだ。
具体的には、「2ステージ制廃止」「CS不要」という意見が、現状のJリーグのサポーターの内心を代表する最も切実な声だということだ。