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サッカー本の「診察室」を開いた理由。『夢想するサッカー狂の書斎 ぼくの採点表から』佐山一郎氏インタビュー(その3)

このほど『夢想するサッカー狂の書斎 ぼくの採点表から』(カンゼン)を上梓した佐山一郎氏。153冊ものサッカー本を紹介する書評集だが、どのような思いで本と向き合ってきたのか。宇都宮徹壱氏が徹マガで話を聞いた。

text by 宇都宮徹壱 photo by Tetsuichi Utsunomiya

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パンチョ伊東『メジャーリーグこそ我が人生』の類書である

サッカー本の「診察室」を開いた理由。『夢想するサッカー狂の書斎 ぼくの採点表から』佐山一郎氏インタビュー(その3)
本棚からでてきたのは『メジャーリーグこそ我が人生』【写真:宇都宮徹壱】

──ちょっと穿った見方かもしれませんが、この本は若いブックライターに向けたメッセージが満ちているようにも感じられるのですが、その点についてはいかがでしょうか?

佐山 まあ、おのずと「遺言感」は出てくるよね(笑)。サッカーの本ではなくて、野球でパンチョ伊東(伊東一雄)さんっていう人がいらしたでしょ?

──いらっしゃいましたね。パ・リーグの元広報部長で野球解説者だった方ですよね。……今、ネットで検索しましたが、02年に68歳で亡くなっています。もう10年以上も前ですね

佐山 あの方が、生前に『サンケイスポーツ』にコツコツ書いていたものが山ほどあってね。メジャーリーグと日本野球との関わりについての記述が、結果としてひとつの日米野球史になっています。……(本棚から探し出してきて)これこれ。

──沢山ある蔵書から、すぐに本を取り出してくるのがすごいですね。『メジャーリーグこそ我が人生』ですか。随分と古いように見えますが、03年ですから亡くなった直後に出た本なんですね

佐山 そうそう。ご存命中だったら、こんなにいい本にならなかったのでは、という不埒な感想も出てきますよね。

 さすがに60過ぎると、ここから先の著述は、ある種の「遺言集」みたいなものとして否応なく舞踏家モーリス・ベジャールが生前言った「本は棺だ」感が出てしまうな、というのが自分の中にあったんですよ。書評集ではないけれど、類書としてはこの『メジャーリーグこそ我が人生』が、いちばん近いような気がします。

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