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サッカー本の「診察室」を開いた理由。『夢想するサッカー狂の書斎 ぼくの採点表から』佐山一郎氏インタビュー(その1)

このほど『夢想するサッカー狂の書斎 ぼくの採点表から』(カンゼン)を上梓した佐山一郎氏。153冊ものサッカー本を紹介する書評集だが、どのような思いで本と向き合ってきたのか。宇都宮徹壱氏が徹マガで話を聞いた。

text by 宇都宮徹壱 photo by Tetsuichi Utsunomiya

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合計153冊を紹介する書評集

サッカー本の「診察室」を開いた理由。『夢想するサッカー狂の書斎 ぼくの採点表から』佐山一郎氏インタビュー(その1)
好評発売中の『夢想するサッカー狂の書斎 ぼくの採点表から』(カンゼン)

 尊敬して止まないコラムニストである佐山一郎さんが、このほど『夢想するサッカー狂の書斎 ぼくの採点表から』(カンゼン)を上梓された。153冊ものサッカー本を紹介するという書評集という、これまでありそうでなかったタイプのサッカー本である。

 書籍そのものは大変面白く、一気に読ませていただいた。だがそれ以上に嬉しかったのが、佐山さんが久々にサッカーに関する本を世に送り出したことである。

 ことサッカー本に限っての佐山さんの前作は2001年に発表された『こんなサッカーのコラムばかり雑誌に書いていた。』(双葉社)が最後のはず。佐山さんは旧スポーツナビの設立にも少なからず貢献されたこともあり、プロモーションを兼ねて著者インタビューをさせていただいた。佐山さんにインタビュー取材という形式で、じっくりお話を伺うのはその時以来。実に12年ぶりのこととなる。

 今回、佐山さんにインタビューを試みた直接的な理由は、新著『夢想する~』について著者の意図を確認したいということであった。しかし一方で、個人的に気になっていたのが、これから自分が50代、60代となっていった時に、どんな環境の中で仕事をしていくのかということを、ずっと背中を追いかけてきた業界の先導者から直接問うてみたいという思いがあったからである。

 フットボーラーに比べれば、書き手の現役時代は長い。とはいえ、その活動期間は決して永遠ではなく、ピーク時が過ぎればいずれ自分の身の置き方についてシリアスな決断を下すことを迫られることになろう。

 おそらく佐山さんも、そうした密やかな焦燥を感じながら、後輩たちの書いたサッカー本の書評を片っ端から書ききってやろうという決意を抱いたのではないか。そんな大胆な仮説をもとに、世田谷にある佐山邸を訪れた。

 なお今回の取材では、本書の編集者であり、サッカー批評の編集長でもある森哲也さんにもご同席いただいた。森さんには、今回の取材のアテンドを含めて大変お世話になった。あらためて御礼を申し上げたい。(取材日:10月25日)

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