狙うはSBの裏。カウンター主体に攻めるHSV
17分。イビセヴィッチが抜け出した。ショートカウンター。ジルーからのロングボールを、ソクラティスが胸でそのままバイグルに繋ごうとした。それをホルトビーがカットして、裏にパスを送る。ソクラティスが追い縋る。ビュルキが飛び出して、イビセヴィッチを倒す。主審は、ペナルティスポットを指した。
対戦相手がボルシア・ドルトムントであっても、ハンブルガーSVは怯まなかった。酒井高徳によれば、試合前に指揮官ブルーノ・ラッバディアは次のように話したのだという。
「チーム全員でコンパクトにしっかり守って、球際のところも強く行って、チームとして戦えたら、我々にもチャンスがある。それができなかったら、ドルトムントに勝つ可能性はない」
HSVの狙いは明確だった。高い位置を取るSBの裏を狙うなど、カウンターを主体として攻めようとする。酒井によれば、「一番のポイント」とは次のようなものだ。
4-4-2のブロックを作る中で、イビセヴィッチとミュラーの両SHを、高い位置を取るギンターとシュメルツァーの両SBまでは戻さない。開いたフンメルス、ソクラティスの両CBにプレッシャーを掛けられるようにする。6バックまたは5バックになってしまうようなラインの引き方はしない。うまく高く保つ。
加えて香川真司が「球際やセカンドボールで苦しさを感じていました」と言うように、HSVは果敢でアグレッシブな姿勢を貫いた。
試合後に。酒井は手応えを感じた。
「それによって相手のコースも少なくなって、取れるところで、真ん中で取れた」
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