カンボジア戦は不満残る内容も…柏木は大きなアピール
敵地で慣れない環境、しかも相手の多くの選手が終盤に足をつるほど強い気持ちで挑んで来たとはいえ、ここまで6試合で19失点の相手に後半の2点で終わるというのは期待して観戦したファンをがっかりさせるものだ。
事実、ハリルホジッチ監督や選手もゴール数と内容に満足している様子はない。ただ、まずは突破が絶対的に求められる二次予選において、首位で残るホーム2試合を迎えられることは前向きに捉えるべきだ。チーム力の落ちる対戦相手ばかりと言っても、6試合で得失点差が+17というのは世界を見渡してもそう多くはない。
まずは来年3月のアフガニスタン戦とシリア戦でしっかり勝利して二次予選の首位突破を決め、同時にチームとしてのベースをさらに引き上げること、メンバーの絞り込みが想定される最終予選に向けて、少しでも可能性のある選手をテストして競争のパイを広げることが求められるが、そこで1つ注目点になるのが中盤の構成だろう。
今回の2試合で最も大きくアピールした選手の1人が柏木陽介であることは明らかで、特に後半から入るなり攻撃リズムをガラリと変えたカンボジア戦の後にハリルホジッチ監督が「皆さんもご覧になったように、彼が入っただけでゴールに近づくこともできたし、PKも得ることができた。後ろからの組み立てで必要な選手」と賞賛したほど。コンディションに問題が無ければ、来年3月のメンバーにも間違いなく入ってくるはずだ。
ただ、ここで考えるべきはチームにおいて柏木に限らずゲームメーカーの役割が大きいということ。彼らの存在はポゼッションの中でクローズアップされることが多いが、縦に速いスタイルの中でも攻撃に幅を持たせたり、テンポの緩急などでアクセントを付け、またリズムが悪い時に攻め方を変えることができる。
特に個の打開力よりコンビネーションで崩す日本ではボランチがシンプルなパスだけでなく、前の選手がオフ・ザ・ボールでマークを剥がす起点になれないと苦しい。