多用した「テスト」という言葉
11月7日、日本代表の欧州遠征メンバーが発表され、アルベルト・ザッケローニ監督はJFAハウスでの記者会見に臨んだ。
その取材に行って来たのだが、まず驚いたのは会見場の雰囲気の「悪さ」である。メンバー表が配られた段階から「メンバーが代わっていない」ことへの不満のざわめきが記者会見場に広がっていく。登壇したザッケローニ監督も、記者との「戦い」を予感させるように、最初から言葉の防衛ラインを構築していった。
「一般的にはフレンドリーマッチと呼ばれているが、こういう試合はテストの場であり、テストマッチという言葉のほうがふさわしい」
「(今回対戦するオランダとベルギーは)欧州予選でもトップ3に入るようなパフォーマンスを残している2チーム」
「冷静に自分たちの力をテストしにいきたい」
かなり神経質になっていることが表情からも伝わってきた。10、11月の欧州遠征の位置付けが「テスト」であることを強調し、「結果が出ていない」ことを問い詰めんと待ち構えている記者をけん制する弾幕を張るかのように「テスト」という言葉を乱れ撃ちしてきた。
対する記者側はどうかと言えば、結果の出ないチームで選手から不満の声が出てくるのは当然の傾向であり、それを指揮官にぶつけるのも常套手段となる。最初の質問はこうだった。
「本田選手を中心に攻撃のバリエーションを増やしたいと試みていたようですが、逆にこれまでやってきたことができなくなってきた。そうした部分についてどう思われますか?」
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