岡崎は前半のみのプレーに
クラウディオ・ラニエリ監督指揮下のレスターは、不思議なチームだ。前半に最悪のパフォーマンスをしているのにも関わらず、ハーフタイムを終えてピッチに現れると、まるで違ったチームのように素晴らしいプレーで敵のゴールを襲撃し、最終的に引き分け、もしくは勝利して勝ち点をモノにしてしまう。
敵地で行われたサウサンプトン戦もそうだった。前半45分間はチーム全体の動きが重く、低調なプレー内容に終始。結果的に0-2とリードを許して折り返した。“セインツ”(サウサンプトンの愛称)に所属する吉田麻也が「前半はレスターがプレスをかけてこなかった。いつもは前からガンガンくるので、岡ちゃん(岡崎慎司)も(ジェイミー)バーディーも走っているイメージだったが、抜け道が結構あった」と分析する。
この言葉どおり、岡崎とバーディーの両選手、並びに中盤の選手も動き出しが鈍く、サウサンプトンは容易にパスを回し続けて完全に試合を掌握していた。この時点でのスコアラインは、いわば当然の結果だったといえる。
しかしラニエリ監督は後半頭から岡崎とジェフ・シュルップをベンチに下げて、ネイサン・ダイヤーとリヤド・マレズを投入するダブルチェンジを敢行。すると、流れは俄然レスターへと傾く。
後半は、開始直後からストライカーのバーディーを中心に高い位置から積極的にボールを奪いにかかった。「(後半のレスターは)負けているのもあって、ディフェンスラインも高くなったし、プレスをかけてきた。前線が2人代わったということもある」(吉田)
確かにマレズとダイヤーの起用は効果てき面だった。この2人にバーディーを加えた前線の3選手は、左右中央でポジションを入れ替えながら、敵にプレッシャーをかけ続けた。その結果が、バーディーの後半21分の追撃弾、そしてアディショナルタイムの劇的な同点弾でもあった。