テーマは『新戦力のテスト』だったイラン戦
「イラン戦ではメンバーの50%を代える。少しリスクはあるが、若く経験を積んでいない選手がどんなプレーをするのか見てみたい」とヴァイッド・ハリルホジッチ監督が試合前日にコメントした通り、13日のイラン戦(テヘラン)の最大のテーマはズバリ『新戦力のテスト』だった。
その言葉通り、指揮官は8日のシリア戦(マスカット)から先発5人を入れ替え。最終ラインはセンターバック・槙野智章(浦和)に代えて森重真人(FC東京)、左サイド・長友佑都(インテル)のところに米倉恒貴(G大阪)、ボランチ・山口蛍(C大阪)の代わりに柴崎岳(鹿島)、原口元気(ヘルタ)の左FWは宇佐美貴史(G大阪)、岡崎慎司(レスター)の1トップは武藤嘉紀(マインツ)が入った。
しかし前半の日本は相手の厳しい寄せに戸惑い、相手陣内に進入できない。イランは右サイドのレザイアン(ペルセポリス)が積極果敢に攻め上がり、最前線のアズムン(ロストフ)へ再三に渡ってクロスを蹴りこんだが、森重中心にこれを何とか防ぐ。そんな耐えしのぶ時間帯が続いた。
だが前半終了間際に負傷者と交代した切り札・トラビ(サイバ)を吉田麻也(サウサンプトン)に引っかけてしまいPKを献上。そのトラビがこぼれ球を押し込んで、手痛い失点を食らう。「フィジカルの強い相手にどう戦っていくか考えなきゃいけない」と香川真司(ドルトムント)が顔を曇らせるほど、日本は低調な内容に終始した。
そこでハリルホジッチ監督は香川に代えて清武弘嗣(ハノーファー)を起用。その清武が中盤でタメを作ってリズムを変え始める。そして後半開始3分には本田圭佑(ミラン)のクロスを武藤が相手と交錯しながら背中で押し込み、起死回生の同点弾を挙げる。
この後、宇佐美と原口、本田と岡崎、柴崎と柏木陽介(浦和)、酒井高徳(HSV)と丹羽大輝(G大阪)、武藤と南野拓実(ザルツブルク)が交代。シリア戦先発組以外では8人の新戦力テストが実現したのである。