W杯での惨敗から…コンテが見せた新たなスタイル
「イタリアはパスサッカーを好まない。代表チームでもそうだ」。ミランの本田圭佑が、以前こんなことを言っていた。例の4日のナポリ戦後には、勢い余って「イタリアはやばいと思いますよ」とクラブのみならずサッカー界にも批判の矛先を向けている。
もっとも彼に言われるまでもなく、イタリアの指導者たちも同様の危機感を持っていた。2010年の南アフリカW杯での惨敗後、イタリアサッカー協会(FIGC)は強化部門の再整備を行い、A代表監督に就任したチェーザレ・プランデッリ監督は「クアリタ(質)」を合言葉にパスサッカーの構築を図っている。ただ、文化を変えるまでには至らなかった。
EURO2012では準優勝を収めたが、その後主要メンバーに故障者が相次ぎ肝心の2014年ブラジルW杯でも惨敗。結果に煩いイタリアには当然批判が巻き起こり、プランデッリ監督もFIGCのジャンカルロ・アベーテ会長も辞任。2010年のスペイン代表をベンチマークとしたポゼッションへの転換を図った流れはこれで途切れた。
そしてその後任も苦労していた。ユベントスで3連覇を達成したのち代表監督に招聘されたアントニオ・コンテだが、故障者の処遇や合宿の日程調整などで各クラブから協力を取り付けられず、満足に練習ができない。その影響からか、このEURO2016の予選中はどんなチームにしたいのか形は見えにくかった。
しかしこの予選終盤、イタリアはクロアチアやノルウェーがもたつく間に3連勝を挙げ、一気に予選突破を確定させた。そしてそこには、内容も伴っていた。プランデッリ監督のスタイルとは違うが、また別の形で攻撃的なスタイルが築かれていたのだ。