シリア攻略のカギを握る“ビルドアップ”
「我々と戦う対戦相手はかなりディフェンシブにやってくることは知っている。ただ、シリアはかなり得点率の高い選手もいますし、より攻撃に力を割いてくると思っています」
シリア戦の前日会見でハリルホジッチ監督はグループ首位の対戦相手がこれまでの3チームよりも攻撃的に来ることを想定している。最初のシンガポール戦は無得点、カンボジア戦が3得点、イランのテヘランで行われたアフガニスタン戦が6得点と、相手は違えども、チャンスを得点に結び付ける様になってはいる。
ただ、これまでの3チームはシンガポールの立ち上がりなどを除き、試合のほとんどの時間で自陣に引いて、そこから少ない手数でFWにわずかなチャンスを託す様な攻撃だった。そして一発で裏を狙うボールのほとんどを日本のディフェンス陣が無難に対応していたため、ハーフコートマッチの様な状態になっており、日本のボールをアタッキングサードまで運んでも、10人がペナルティエリアのあたりで固めている状況だった。
今回のメンバー発表の会見で「アフガニスタン戦やカンボジア戦から(現在の状況を)判断するのは難しい。彼らは本当の守備固めをしてきた」と語ったハリルホジッチ監督はシリアがこれまでの相手より強く、日本の守備陣にとってより難しい試合になることを認めるが、攻守の切り替わりで多少オープンになる分、攻撃スペースがより生まれることも示唆している。
ここまでラストパスやゴール前の精度が課題としてあげられてきたが、シリア戦ではこれまでよりビルドアップの重要性がフォーカスされる試合になるはず。現体制で初選出された柏木陽介、さらに4ヶ月ぶりの代表復帰となる清武弘嗣の評価について指揮官がビルドアップの質をあげている点からも、今回の重要テーマになることが示唆されている。