4-1-4-1から4-3-1-2へとシステム変更したトゥヘル
チームの指揮をユルゲン・クロップからトーマス・トゥヘルへと代えたドルトムント。ここ3試合は引き分けで勝利から若干遠ざかってはいたものの、そのスタートは公式戦11連勝と苦しんだ昨季のイメージを払拭して有り余る結果を手にした。
その中で迎えたバイエルン戦。昨季はリーグ戦2試合で2敗を喫した絶対的王者を相手に、再び対抗馬として並び立つことへの期待感は大きく膨らんでいた。
しかし、スコアは5-1。バイエルンのホーム、アリアンツ・アレーナで行われたことを差し引いても失望は小さくなかったはずだ。
では、このような結果となった要因はどこにあるのだろうか? 欧州ビッグクラブを含めた世界中のスカウトも利用している『Wyscout』が集めたデータを用いて分析する。
まず、この試合でトゥヘル監督が採用したフォーメーションは、香川真司をトップ下に据えた4-3-1-2(図1)。ここまでのリーグ7試合では4-1-4-1で戦ってきたが、この4-3-1-2はプレシーズンでも試されていた布陣。トゥヘル監督は満を持して採用した。
また、これは昨季のCLベスト8の1stレグにおいて、ポルトが実践して3-1という結果を手にした“シャビ・アロンソへのプレス”という策を模倣したと考えられる。そして、その役がトップ下に起用された香川に託されたのだろう。
香川は守備に難があるとされるが、決してそうではない。押し込まれた際に強烈なタックルを繰り出すような守備は苦手だが、豊富な運動量や敏捷性をもって素早くプレスを仕掛ける守備は十分世界で通用するレベルにある。
そういった意味で、この“シャビ・アロンソへのプレス”という役には適任だったといえる。実際、香川は試合後に「俺はシャビ・アロンソに付いていました」と明かしている。