拮抗した展開となる両者の対戦
広島は前節、残留争いの渦中にいる清水エスパルスから大量5ゴールを奪って勝利した。最多得点記録達成が期待される佐藤寿人はノーゴールに終わったものの、途中出場の浅野拓磨が爆発。清水ディフェンスを破壊し、2得点を挙げた。
日本代表にも選出された浅野が途中から出て来れば、相手にとっては大きな脅威となる。そのスピードは間違いなく要注意であり、ゴールという結果も出している。単なるジョーカーの枠に収まらない存在だ。
この気鋭のストライカーが覚醒のきっかけを掴んだのが4月のFC東京戦だった。この試合で自身初のJ1でのゴールを記録し、以降の飛躍を後押しすることになった。縁起のいい相手から今節もゴールを奪うことが期待される。
FC東京は、代名詞となった堅守で広島の攻撃陣を迎え撃つ。前回対戦では先制しながら逆転負けを許している。失点しないことを第一に考えるチームとしては、こうした展開は望ましくない。しっかり相手の攻撃を封じ、手数をかけずにゴールへ迫りたいところ。
失点を極力減らし、最少得点差で勝利を掴んできたFC東京は、ここまで39得点を記録している。これは年間上位5チームの中でも突出して少ない数字だ。
それでも、9月の3試合で4ゴールを奪った前田遼一が、得点源として本来の力を発揮するようになった。チームのスタイル的にチャンスの数はそれほど多くない。だからこそ、ゴールが計算できる前田のような存在は大きく、チームの拠り所になっていると言っていい。
両者の対戦は拮抗している。2012年以降のリーグ戦は広島の4勝3敗で、勝ちと負けを交互に繰り返してきている。しかも、いずれも1点差の決着とあり、今回も90分間集中した戦いが見られそうだ。