“ヌルい”ミラノダービー、その存在意義とは
語弊がある表現かもしれないが、ミラノダービーはある意味ヌルい。インテルとミランのライバル心はそれほど強くないからだ。ジェノバダービーのように一年を通して街の話題になることもなければ、ローマダービーのようにサポーターも選手同士も憎みあっているわけでもない。南の街のダービーのように暴動に発展することもほとんどないし、ユベントスとトリノのように見下し見下される関係が強いわけでもない。
何かと因縁が深いインテルvsユベントスの方が、雰囲気ははるかに殺伐としているくらいだ。「ほかの街のダービーに比べれば、ミラノでは比較的早く忘れられてしまう」。ミランのシニシャ・ミハイロビッチ監督はそうも語っていた。
そんなカードが、なぜイタリアのみならず世界が注目するダービーマッチたり得たのか。その理由と試合そのものの意味について、インテルのロベルト・マンチーニ監督は12日の記者会見でシンプルに語っていた。
「街の雌雄を決する特別な一戦という点では他のダービーと共通しているが、やはり非なるもの。自分が経験した中でも格式の高いカードの一つだ。最近は両クラブともにタイトルを勝ち取っていないが、これまでは多くのタイトルを獲得した世界最高の選手たちが一堂に集い、技を競ってきた。我々の役目は、このダービーをこれまでのレベルへ引き戻すことにある」
同郷のビッグクラブの競演――。ミラノダービーの存在意義とは、その一言に尽きる。サン・シーロを埋めつくす7万人超の観客は本来それを楽しみに足を運び、ゴール裏の見事なコレオグラフィーは格調高い試合を演出するためにある。ただ残念ながらマンチーニ監督が認めた通り、両クラブの弱体化で近年はファンやメディアのテンションが下がっていたのも事実だ。