手を取り合うバイエルン・ミュンヘンの選手たち【写真:Getty Images】
ヨーロッパで大きな社会問題になっている「難民受け入れ問題」に関して、ドイツは受け入れ体制を整えていく姿勢を見せている。今年は昨年の4倍にあたる約80万人が難民申請をすると見込まれている。
それに同調したサッカー界からも支援の手が差し伸べられようとしている。バイエルン・ミュンヘンは3日、難民の若者を支援する「トレーニングキャンプ」の実施計画を発表した。
クラブ公式HPで「ドイツは何十年もの間で最大の難民流入を経験している。これは国家と社会のための課題、人々のための挑戦だ」として難民支援計画実施の理由を説明した。ミュンヘンにはハンガリーやオーストリアを通って戦禍や貧困から逃れようとする多くの難民が流入している。
内容はドイツ語の訓練の他、食糧支援にサッカー用具の提供まで多岐にわたり、資金は親善試合の収益から100万ユーロ(約1億3000万円)が寄付される見込みとなっている。また、来週12日のアウクスブルク戦では選手たちがドイツ人の子どもと難民の子どもと手をつないで入場し、統合の象徴となる姿勢を示していく。
バイエルンのカール=ハインツ・ルンメニゲCEOはクラブ公式HPで「バイエルンは難民や子どもや女性、男性助け、ドイツで彼ら彼女らに寄り添うことを社会が果たすべき責任だと考えている」とコメントし、難民支援プロジェクトの意義を説いた。
ブンデスリーガの多くの会場では先週末の試合で「Refugees Welcome(難民を歓迎する)」と書かれた横断幕が掲げられ、ドルトムントの本拠地には200人以上の難民を試合に招待した。だが、直接的な支援をクラブとして公式に発表したのはバイエルンが最初だ。
ドイツのアンゲラ・メルケル首相は公平に負担を分かち合えなければ国家間の移動の自由を保障する「シェンゲン協定」の見直しも必要になると、ヨーロッパ各国に警告していた。
欧州全土で噴出する難民問題に対し、バイエルンに追従してサッカー界から救いの手が差し伸べられれば社会を変える大きな力になるかもしれない。
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