本田圭佑【写真:Getty Images】
【日本 3-0 カンボジア 2018年ロシアW杯アジア2次予選】
28分、ペナルティエリア手前の右寄り。左足を振り抜いたFW本田圭佑は、喜びを爆発させるでもなく、静かに左胸の日の丸にキスをした。
「ホッとしていた。入ると思っていなかった中で入った。同時に、リードできたので2点目を取りに行くことに気持ちを切り替えた」
その時の心境を明かした本田は、自らのゴールについて「緩急の1つ。結局、日本代表は点を取りたいオーラが出た時に一点張りになりつつある。色々なことをやるのが足りない。そういう賭けとかひねりの部分をトライした」と語った。
実際、この日3点を決めたとはいえ「それにしても物足りない」と本田が漏らすように、多くのチャンスで決めきれず消化不良のまま終えたことも事実。
度々指摘されている単調な攻撃の要因には「そういう練習を普段あまりやっていない。それぞれの所属チームが相手を圧倒するチームではないので、パッと集まってコミュニケーションをとるものの、いざこういう大事な試合で何もかもうまくいくわけではない」と説明。
この試合のスタメン中8人が欧州クラブでプレーしているものの、リーグにおいてチャンピオンズリーグ出場を明確な目標としているのは香川真司のドルトムントのみ。
自らの所属するミランはかつての栄光むなしく苦しい立場を強いられるなど、その他多くがリーグでは“挑戦者”としての戦いを続けている。その中で、アジア予選では“強者”としての立場。『やるべきこと』の違いに苦しんでいることを明かした。
それでも「もっと理想は追求していかなければいけないし満足はできない」と本田が語るように、目指すのはアジアでの勝利ではなく世界での勝利。
「高いものを求めるなら今は全然。それには到達していない。もっと目指していかなければいけないし、そういうチーム。勝ったときこそ厳しく、なんで3点しか取れなかったのかと見ていく必要がある」
勝って兜の緒を締めよ――。そういうメッセージを本田は発信し続けていた。
【了】