決意を新たにする長友佑都
心も体もベストに近い状態で日本代表に合流するのは、おそらく昨夏のワールドカップ・ブラジル大会の直前以来となるのではないだろうか。
盟友の本田圭佑と「世界一」を合言葉に臨んだブラジルの地で惨敗を喫し、自信を木っ端微塵に打ち砕かれてからの長友は、心の片隅になかなか癒えない傷を負ってきた。
連動するように、プロになってから常にハードワークを強いてきた体も悲鳴を上げる。昨シーズンだけでけがによる戦線離脱は4度も数え、インテルでのリーグ戦出場は14試合に終わった。
ロベルト・マンチーニ監督をはじめとする首脳陣の信頼を失ったからか。シーズンオフに突入するとともに移籍が取りざたされ、新シーズンの開幕へ向けた練習でもレギュラー組に絡めない日々が続いた。
それでも長友は信念を貫き、努めてポジティブに前を向いてきた。
「プロになってからはむしろ順調すぎたので、こういう苦労をしないと、選手としても人間としても大きくなれないのかなと思っています」
ハリルジャパンに初めて招集された6月。長友は故障の連鎖を成長への糧として受け止めながら、自らに言い聞かせるように決意を新たにしている。
「僕も若くないし、いつサッカー人生が終わってもおかしくない。だから、後悔はしたくない。どれだけストイックさを貫けるか。そこの信念というか覚悟が変わった部分。これまでは自分のなかに甘さがあった。自分のなかにある隙に気づけと、神様に言われたと思っている」
それから約2ヶ月半が過ぎた。セリエAの夏の移籍市場がクローズされたイタリア時間8月31日の午後11時59分59秒を、長友はミラノから日本へ向かう機上の人として迎えた。
日本時間の9月1日。早朝の成田空港に降り立った長友は、インテルの一員として臨む6シーズン目が正式に決まった心境をこんな言葉で表している。
「僕は最初からすっきりしていましたよ」
果たして、何に対して「すっきり」していたのか。いま現在の自分がなすべきことが、はっきりしていたからに他ならない。