イングランドで最もインパクトを与えた日本人
今季に入ってから、香川真司に関して、なかなかポジティブな記事が出ない。最近の香川関連の記事、コラムを読んでも、その大半はモイーズ監督に変わってから出場回数が減ったことについて「ああでもない、こうでもない」とその原因を探るものばかりだ。
この話題に関しては、僕にもそれなりの意見はあるが、それはこれからのコラムで明かすとして、今回は連載の初回ということもあり、独自な内容にしたいと思っている。それは最近僕が体験した実際の出来事から、イングランド、欧州における“香川の大きさ”の実像に迫るものだ。
元日本代表FWの西澤明訓選手がボルトンに移籍して来た2001年8月以来、報知新聞の英国通信員となり、間近でプレミアでプレーする日本人選手達を見続けて来た。その名をイングランドに移住してきた順にざっと書き記すと、稲本潤一、川口能活、戸田和幸、中田英寿、阿部勇樹、宮市亮、李忠成、香川真司、吉田麻也となる。
その全員のプレーを見て、取材もした。その上で、結論を言ってしまうと、イングランドのサッカー界に最大のインパクトを与えたのは紛れもなく香川真司その人である。
確かにイタリアで実績があった中田は、英国でもビッグネームだった。入団会見での現地記者の数も群を抜いて多かった。しかしプレーしたのはボルトン。マンチェスター・ユナイテッド(以下マンチェスター・Uと表記)に所属する香川とはまるっきり注目度が違う。
それでは実際に僕が、ヨーロッパにおける“マンチェスター・Uの香川真司”という存在の大きさを、心底思い知った出来事について書き記すことにしよう。