守備的だったが攻撃的な選手が多かった柏
蓋を開けてみれば、スタメンは全く予想と異なっていた。J1第30節での対戦から、変更箇所は5つ。キム・チャンスから藤田優人、鈴木大輔から谷口博之、大谷秀和から茨田陽生、橋本和からジョルジ・ワグネル、田中順也からレアンドロ・ドミンゲス、こうなるとリーグ戦とナビスコカップ決勝の柏は、全く別のチームである。
いくら“策士”とはいえ、それがネルシーニョ監督の意図したものではない采配もある。例えば鈴木大輔は前回の対戦で負傷し、そしてキム・チャンスは決勝戦前の練習中に大怪我を負ったとの情報も入っていた。
面白いのは、柏は外国籍選手3人が揃い踏み、そして大谷よりも決定的なパスを出せる茨田が入り、3バックの一角には本職はボランチの谷口と、全体的に攻撃的な布陣を並べたにもかかわらず、先日のリーグ戦と比べてむしろ戦い方が守備的になった点だ。
3-4-2-1は変わらない。クレオ、レアンドロ、工藤壮人の前線3枚が浦和の3バックにプレスを仕掛ける。森脇良太、槙野智章がSBのように張り出す場合は、そのまま柏の2シャドーが開いて付いていく。
そして鈴木啓太、阿部勇樹を見るのは栗澤僚一と茨田の仕事であるが、ここは浦和のボランチが最終ラインに落ちる場合は柏のボランチは捕まえにいかず、ある程度セットアップした位置で待ち構え、3バックとともに2シャドーの動きをケアする形となった。
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