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Jリーグ 9年前

遠藤航、疲れ知らずな湘南の成長株。チョウ監督の慧眼が見出した才能

遠藤航は今のJリーグにおいて最も注目すべき成長株である。湘南ベルマーレの絶対的な守備の支柱として活躍し、東アジアカップではA代表デビューを果たしている。成長著しい22歳はいかにして現在に至ったのか。それには、チョウ・キジェ監督の“慧眼”が隠されていた。

text by 藤江直人 photo by Getty Images

チョウ監督は「透視能力」を持っている?

遠藤航、疲れ知らずな湘南の成長株。曺監督の慧眼が見出した才能
湘南ベルマーレのDF遠藤航【写真:Gety Images】

 透視能力を持っているんじゃないか。いやいや、占い師もできるんじゃないか――。

 湘南ベルマーレを率いるチョウ・キジェ監督に対してこんな視線が向けられるようになったのは、J2を戦っていた2014年シーズンに入ってから数ヶ月が経ったときだった。

 選手たちに生じた些細な変化を瞬時にして見抜き、采配を含めた選手起用、そして異次元の強さを発揮しての独走劇に結びつけていたからだ。

 そして、戦いの舞台をJ1に移したいまも、指揮官の慧眼ぶりはいかんなく発揮されている。たとえば、東アジアカップ開催に伴って中断されていたセカンドステージが再開された8月12日。敵地での清水エスパルス戦に臨む先発メンバーの中に、チョウ監督は迷うことなく遠藤航の名前を書き込んでいる。

 東アジアカップで初めて日本代表に選出された遠藤は、3試合すべてで先発フル出場。10日に帰国し、エスパルス戦の前日にベルマーレの練習に合流したばかりだった。

 もちろん、疲れていないはずがない。実際、エスパルス戦後の監督会見ではこんな質問が飛んでいる。

――東アジアカップで3試合に先発フル出場した遠藤を中2日で使った理由は?

よどみない口調で、チョウ監督が答える。「使わないということは、まったく考えていなかったですね」

 その意図を、会見終了後にもう少し詳しく聞いてみた。返ってきた理由に、「透視能力」という言葉を思い出さずにはいられなかった。

「帰ってきたときの顔というのかな。湘南という池のなかで泳いでいたところを、太平洋や日本海にパッと放されても同じ水温で、同じ魚がいて、同じことをしなきゃいけないんだということを肌で感じてわかったと思うんですよ。それはすごく大事なことなんですね」

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