※『ジュニアサッカーを応援しよう!Vol.26秋号』P51-56より転載
まだまだ感じる世界との差
近年、マンチェスター・ユナイテッドの香川真司を筆頭に、サッカー強国の名門に入団する選手も相次ぎ、すっかり世界トップクラスの仲間入りを果たしたかのように思える日本。
しかし、つい十数年前まで世界との格差に苦しんでいた日本が、そう簡単に同じ地平に到達できるものだろうか。基本技術の止める、蹴るを取り出してみても、まだまだ世界とは差があるのではないだろうか。
例えば2011年の「FIFA U-17ワールドカップ」で、日本は準々決勝まで進み、ブラジルに2-3と惜しくも1点差で敗れてのベスト8に入った。全5試合でポゼッションが相手を下回った試合はひとつもなし。攻撃的なサッカーをしてのこの結果に、ファンもメディアも日本は強くなったと沸いたが、実際にはキックの精度、種類やアイデアの豊富さにおいて、ブラジルとの差を見せつけられる内容でもあった。
現場では世界との距離をどう感じているのだろうか。同チームを率いた吉武博文(現U-17/U-15日本代表)監督に、率直な意見を訊いた。
──なまじ、試合に勝って結果を残しているだけに、技術面、特に「蹴る」の部分で世界との差を詰め切れていない事実が覆い隠されている、または見過ごされがちなのではないかというのがこのインタビューの趣旨なんですが、そもそも日本は強くなったのでしょうか?
日本は、世界基準で見れば、いまだそんなに強くないです。どこを目標にするかというときに、例えばなでしこは頂点をめざしているけれども、日本(男子)が頂点をめざすだけの「本当の」力があるか? (2012年7月当時)FIFAランキングでは20位ですが、実力的には世界ベスト32、ちょうどFIFAワールドカップに出場するくらいではないでしょうか。やがては世界ベスト16、8になっていくんでしょうけれども……何が言いたいかというと、「恒久的に」その力があるかどうかなんです。
2011年の「FIFA U‐17ワールドカップ」で日本がベスト8に入ったと言っても、それは確率的に1回そうなった、というだけです。だから1度の大会でベスト4に入ったりすることがあるかもしれないけれども、その結果をもって日本の実力が世界で4番目だということになるのかどうか。
現在、FIFAワールドカップの優勝国は8カ国しかない。その中に入っていけるのか。僕はまだそこまでの力はないと思っています。
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U-17日本代表を率いる吉武博文監督に聞く! 「蹴る」技術の重要性【前編】
U-17日本代表を率いる吉武博文監督に聞く! 「蹴る」技術の重要性【後編】