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Jリーグ 1週間前

「何かいける気が…」いまの京都サンガF.C.はJ1の中でも“異質”。「本気でタイトル」チームが自信を深める理由【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

「口でしゃべるタイプじゃないですけど…」

「パスが出てくるだろうな、という予感がマルコからあったというか、本当に素晴らしいパスを出してくれた。最後は『入れ』といった気持ちを込めて足を伸ばしました。2人で崩せた感じですね」

 フィニッシュに至った連係を、感謝の思いを込めながら豊川が振り返った。勢いよく飛び出してきた千葉のキーパー藤田和輝の眼前で、最後は滑り込むようにして豊川が右足をヒットさせる。ペナルティーエリア内の攻防を制したのは豊川。ボールは無人のゴールへ吸い込まれ、京都が一気に流れをつかんだ。

 喜びを全身で表現しながら、ベンチ前で曺監督やリザーブの選手たちと抱き合う豊川の姿が、京都にかかわる全員を鼓舞したと、キャプテンを担うパリ五輪代表のMF川﨑颯太が声を弾ませた。

「トヨくん(豊川)は本当に生粋のサッカー小僧というか、練習ではグラウンドにいつも早く来ますし、最後まで黙々とシュート練習にも取り組んでいるし、自分たちの間でプレーやパスが合わないと、そのシーンをマジで振り返って、自分はこうしたかった、みたいな熱い話もする。サッカーが大好きで、負けず嫌いで、自分たちが見習うべき先輩だといつも思っている。そんなに口でしゃべるタイプじゃないですけど、それでもトヨくんの姿というのは、自分を含めたサンガの後輩の見本や手本になっていると思っています」

 熊本県の強豪・大津高から鹿島アントラーズ、ファジアーノ岡山、ベルギーのオイペン、セレッソ大阪をへて京都の一員になって3シーズン目。身長171cm体重64kgの体にテクニックとスピード、アイディア、アグレッシブさ、そして泥臭さを同居させるストライカーに曺監督も再び目を細める。

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