仲間のためにも「一発回答をしないと」
「捻挫というか、相手が乗っかってきて、かなりの負荷がかかってしまった分だけ長引きました」
じん帯を痛めていたと明かした豊川は、約2カ月半におよび、その間に30歳になった戦線離脱を「長かったですね。いままで経験がないような」と苦笑しながら、ポジティブな言葉とともに振り返っている。
「特に焦りはなかったですね。(原)大智やラファ(エル・エリアス)、マルコ(・トゥーリオ)のような規格外のプレーはちょっとできないけど、自分にしかできないプレースタイルがあるので。チームも勝ってくれていたし、別にネガティブな感じになる期間もなくリハビリに取り組めていました」
先述のマリノス戦の75分から、FWマルコ・トゥーリオに代わって途中出場。79日ぶりにピッチに戻ってきた豊川を、曺監督は千葉戦で先発に、それも3トップの真ん中に指名した。豊川が続ける。
「自分のなかではコンディションがまだまだ、といった状態なのに真ん中で使ってもらった。監督には『どれだけやれるのか』という狙いがあったと僕は受け取っていたし、だからこそ一発回答をしないといけない、と思っていた。一緒に練習していた選手のなかには、今回のメンバーに入れなかった選手もいたし、そのなかで僕は怪我から復帰してすぐに使ってもらった。残っているみんなのためにも、じゃないですけど、すぐに結果を出す必要があったと思っていた。試合後に後悔しないように、という思いは特に強く持って臨みました」
左にコスタ、右にトゥーリオの布陣でキックオフを迎えた千葉戦。見せ場は開始早々の11分に訪れた。自陣の右サイドから出された縦パスを、下がってきたトゥーリオが意図的にフリック。後方のハーフウェイライン付近にいた豊川が落とし、旋回したトゥーリオが以心伝心で受けてカウンターを発動させる。
トゥーリオの選択肢は3つ。左サイドのコスタ。右サイドを猛烈なスピードでフォローしてきたDF福田心之助。しかし、トゥーリオが選択したのは、パスを要求しながら福田の内側を駆けあがる豊川だった。