「高井幸大のポテンシャルを確認できた」
「自分のプレーをしようと、それだけを意識していました。もう最終予選の突破も決まっていたので思い切り、余裕をもってプレーできましたし、悪くはなかったというか、楽しかったですね」
もちろん本職の守備でも魅せた。たとえば44分。カウンターから左タッチライン際を抜け出したDFナワフ・ブ・ワシュルが一瞬だけスピードを緩めた瞬間に、懸命に追走してきた高井が前方へ回り込んでボールの支配権を奪取。ボールを失わず、GK鈴木彩艶にも下げずにボランチの遠藤航につなげた。
後半アディショナルタイム3分には、サウジアラビアのカウンターになりかけた矢先に、それまでキャプテンのFWサレム・アルドサリをマークしていた高井が素早く反応。縦パスを出したワシュルとの間合いを一気に詰め、ボールをタッチラインの外へ弾き出した直後に試合終了を告げる笛が鳴り響いた。
試合前からアルドサリを警戒すべき選手にあげていた森保監督は、ゴールレスドローに終わった一戦の収穫として「高井のポテンシャルを確認できた」と、個人名をあげながら称賛の言葉を続けている。
「攻守ともに試合をコントロールして、流れを作るうえで大きな貢献をしてくれた。攻撃面では引いた相手を崩すために幅を使い、数的優位を作りながら前線に配球していく起点として、彼がもつ技術を発揮してくれた。守備面でもカウンターを狙う相手のキーマンの一人、アルドサリ選手と何度もマッチアップするなかで、リスク管理のバランスをしっかりと取りながら相手の起点を抑えるなど存在感を発揮してくれた」
昨夏のパリ五輪。金メダルを獲得したU-23スペイン代表に、0-3で完敗した準々決勝が大きな転機になった。強く印象に残った選手として相手のCBコンビ、エリック・ガルシアとパウ・クバルシをあげた高井は、特に当時17歳と自身よりも年下だった後者から刺激を受けたと明かしている。