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コラム 4日前

「僕よりも年下の選手が…」サッカー日本代表、高井幸大の転機となったパリ五輪の大敗。視線はすでにW杯へ【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

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 FIFAワールドカップ26(W杯)・アジア最終予選(3次予選)、サッカー日本代表対サウジアラビア代表が25日に行われ、スコアレスドローに終わった。この試合では、20歳の高井幸大が先発に抜擢され、ベテランさながらのプレーを披露するなど強烈なインパクトを残した。パリ五輪の大敗を転機に、若きDFの視線はすでにW杯に向いている。(取材・文:藤江直人)

最大の決定機を生んだ若きDFの1本

高井
【写真:Getty Images】

 緩から急へ。虚を突かれたからか。まるで金縛りにあったかのように、サウジアラビアの選手たちはまったく反応できなかった。キックオフから9分。森保ジャパンが迎えた最初にして最大の決定機は、代表初先発を果たした20歳のセンターバック(CB)、高井幸大の縦パスから生まれた。

 3バックで形成される最終ラインで、中央の板倉滉と左の伊藤洋輝がゆっくりとパスを交換。板倉が今度は右の高井へボールを預けた直後だった。右足でトラップした背番号3は前を向き、ひと呼吸おいてから右足を一閃。バイタルエリアにいたボランチ田中碧へ、グラウンダーの鋭い縦パスを通した。

 しかも、高井のパスは半身の体勢になった田中の左足に寸分の狂いもなく収まる。トラップからすかさず反転した田中が、サウジアラビアの最終ラインの裏へスルーパス。完璧なタイミングで抜け出した1トップの前田大然が右足でシュートを放つも、強烈な弾道は惜しくも右ポストを叩いた。

 前節までの[4-1-2-3]システムを、最終ラインの人数を変える[5-4-1]にスイッチ。日本を相手にとにかく失点を防ごうと、サウジアラビアが自陣に形成した強固な守備ブロックを一瞬にして無にした縦パスを、90分間フル出場を果たした高井は「いいパスを出せました」と振り返った。

「いいタイミングで(田中が)見えたので刺せました。(スピードも)よかったと思います」

 最終ラインの一人としてリスク管理を徹底しながら、リスクを冒せる瞬間を探し続けた。17歳の高校2年生だった2022年2月に、アカデミーから川崎フロンターレのトップチームに昇格して4シーズン目。J1リーグで43試合に出場してきた高井が、武器と自負しているひとつが「刺す」と表現する縦パスとなる。

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