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コラム 4日前

「いまではよくわかる」サッカー日本代表、伊藤洋輝がバイエルンで見た景色と気づき。「彼らを見ていると…」【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by 田中伸弥

W杯で優勝するための条件

「左足からのクサビのパスや、相手の背後を狙うロングボールが彼の武器。前半からずっとトライしていたし、それまではうまくいっていない部分もあったけど、やり続けた成果がゴールにつながった」

 途中出場からわずか3分後に先制ゴールを決めた鎌田に、伊藤は個の力を発揮した点で「大地くんが入ってきて、試合の流れをグッともってきてくれた」と感謝した。しかし、覚悟を決めた伊藤の前への持ち出しと、直後に利き足の左足から繰り出された高精度の縦パスも紛れもない「個の力」となる。

 日本の勝利を告げる笛をピッチ上で聞いた伊藤は、小さくガッツポーズを作った。直後のセレブレーションで水をかけ合いながら、W杯優勝という目標を仲間たちと共有した伊藤は自身が離脱していた間に、それまでも飛び交っていた優勝の二文字が、さらに色濃くなっていると実感した。

「前回のワールドカップは決勝トーナメント1回戦でクロアチアにPK戦で負けましたけど、トーナメントに入ってからは正直、本当に小さな差だと思っている。そういった厳しい戦いをしっかりと乗り越えていくためにも、選手個々のパフォーマンスの高さや選手の厚さといったものが、さらに必要になってくる」

 伊藤個人のカタールW杯を振り返れば、後半開始から長友に代わった、コスタリカ代表とのグループステージ第2戦だけの出場に終わった。しかも、コスタリカには81分に失点を喫した末に0-1で敗れている。W杯の悔しさは、やはりW杯でしか晴らせないと思い続けてきた。

「高いレベルでそれぞれ成長した個々が、チームとして機能すればおのずと上にいけると思う」

 アジア最終予選を圧倒的な力で勝ち抜いてきた森保ジャパンにようやく合流できた安堵感と、ブンデスリーガで首位に立ち、CLでもベスト8に勝ち残っているバイエルンでもっと、もっと個の力を磨き上げていく決意。バーレーン戦を終えた伊藤の表情には、2つの異なる思いが刻まれていた。

(取材・文:藤江直人)

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【了】

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