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コラム 4日前

「いまではよくわかる」サッカー日本代表、伊藤洋輝がバイエルンで見た景色と気づき。「彼らを見ていると…」【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by 田中伸弥

コンマ1秒の瞬間に頭をよぎった選択肢。「まだましだと思って」

「うまく前へ持ち出せて、さらに前方をのぞいたタイミングで、ちょうど(上田)綺世がいい動き出しから一歩降りてきてくれた。多少リスクはありましたけど、相手の中盤の選手も戻ってきて本当に狭い状態になっていたので、自分がさらに持ち出して取られるよりは、パスが引っかかったほうがまだましだと思って」

 マルフーンのプレスをかわした伊藤は次の瞬間、そのまま前へ持ち出す選択肢を排除し、利き足の左を思い切り振り抜いた。ターゲットはセンターサークル内へ、左手で小さくパスを要求しながらポジションを下げてきた上田綺世。約20メートルの縦パスがピタリと入った瞬間、日本の攻撃にスイッチが入った。

 左足のトラップから反転した上田は、入れ替わるように前線へ飛び出した久保建英へ縦パスを通す。久保はスピードを落とさないまま、左後方から右斜め前へ自身を追い抜いていった鎌田大地へ、体を捻るようにしてラストパス。落ち着いてゴールを揺らした鎌田が、日本に先制点をもたらした。

 覚悟を決めたプレーから、上田へ鮮やかな縦パスを供給してから10秒。美しいパスワークから待望のゴールが生まれる光景を、後方から見ていた伊藤は一瞬のチャンスを生かした攻撃陣に感謝した。

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