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ワールドカップ(W杯)出場を決めたサッカー日本代表。20日のバーレーン代表戦では、伊藤洋輝が282日ぶりに日の丸を背負った。伊藤にはバイエルン・ミュンヘンに移籍したことで見えた景色がある。日々の練習の中で嫌というほど見せつけられるもの。そこに日本がW杯で優勝するためのヒントが隠されていたようだ。(取材・文:藤江直人)
先制点の起点となった伊藤洋輝の賭け
迷いはまったくなかった。視界の右側から一人。さらに左前方からもう一人。赤いユニフォームを着たバーレーン代表の選手たちが猛然と間合いを詰めてくる。相手のプレスを回避するには、ゴールキーパー鈴木彩艶へのバックパスが最善かと思われた状況で、日本代表の伊藤洋輝はあえて火中の栗を拾った。
両チームともに無得点で迎えた66分だった。自陣のほぼ中央でキャプテンの遠藤航から横パスを受けた伊藤は、トラップからワンフェイクを入れた直後にボールを前方へもち出した。果たして、相手の意表を突く動きが、右側から迫ってきたモハメド・マルフーンのプレスを鮮やかに剥がした。
「何だか(相手に)挟まれていたので、イチかバチかのところがありましたけど……」
伊藤の言葉からも、鈴木へ下げる選択肢がなかったのがわかる。自陣で勝負をかけた伊藤は「それまでビルドアップのミスもあったので」と、汚名返上のピンチを待っていたと明かしながらこう続けた。