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コラム 5日前

試合勘以上に得るものがある。遠藤航がサッカー日本代表の中心で居続ける理由。「やはり、リバプールにいることが…」【コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by Shinya Tanaka

「一応、キャプテンなので…」。遠藤が担う役割

遠藤航
【写真:Shinya Tanaka】

 世界基準を身を持って示し続けるキャプテンに導かれ、日本は久保がダメ押しとなる2点目を奪い、完全に勝負を決めた。

 久保が歓喜のあまりユニフォームを投げてイエローカードをもらった際も、遠藤はそれを拾って頭を叩きに行く冷静さを見せた。何が起きてもつねに落ち着いて物事を幅広く見ているところは10代の頃から変わっていない。本当に頼もしい男である。

「『ユニフォームは脱がなくていいだろう』と思って(苦笑)。タケも分かっていると思うので、それを大事な場面でやるとは考えていないですけど、そういうのは1個、1個、一応、キャプテンなので、ちゃんと周りを見えるようにしておかないといけないなという感じですかね」と本人も語っていたが、つねにガミガミ言う闘将タイプでないところが彼のよさ。

「自分は選手と監督・コーチのつなぎ役」と言うように、彼は自身の中盤でのタスクをこなしつつ、周りの力をうまく引き出している。こういう優れたリーダーが育ったからこそ、森保監督も安心して最終予選にのぞめたに違いない。

 結局、試合は7分のアディショナルタイムの末にタイムアップの笛。日本サッカー史上最速の本大会出場が現実となった。森保監督がスタッフと輪になって喜びを分かち合う傍らで、遠藤は比較的淡々としていた。むしろ「ここからが本当の戦いだ」と気を引き締めていたに違いない。

「これがゴールではないし、スタートだと思っている。それをスピーチでも伝えられたのはよかった」と本人も強調したが、W杯優勝を宣言した張本人である以上、本当にそれを達成するようにチームの基準を引き上げていくことが極めて重要になってくる。

 それは彼自身にも言えること。リバプールで来年まで「クローザー」という状況が続くのは芳しいことではない。アジアレベルでは出場時間が少なくても圧倒的存在感を示せたが、W杯は別物だ。だからこそ、スロット監督に実力を認めさせ、再びリーグ戦でフル稼働するところまで持っていくことが肝要だ。

 32歳の遠藤にはまだまだ成長できる余地がある。それを突き詰めていくことでしか、高い領域に到達する術はない。

(取材・文:元川悦子)

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【了】

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