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コラム 1週間前

ラッシュフォードをアストン・ヴィラが変えた。「努力をしない選手」の烙印から2ヶ月…。イングランド代表復帰の理由【コラム】

シリーズ:コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

ラッシュフォードがプレーしやすい環境づくり

 その1つがメディア露出の制限だ。ラッシュフォードはマンチェスター・ユナイテッド時代に何度もゴシップ誌にあることないこと報じられ続けた。近年はピッチ内よりもピッチ外の行動の方が目立っていたかもしれない。

 こうした過去を踏まえて、現状のアストン・ヴィラは1つの言動が大きなニュースとなる彼をメディアの前で喋らせていないと推測している。最後に本人の口から語られたのは加入時で、試合前後に3~4選手が答えるクラブ公式のインタビューはもちろん、番記者が集うミックスゾーンでの取材にも答えていない。

 このメディア露出の制限は、今冬まで在籍していたジョン・デュランでも行っていた。SNSを通して移籍の可能性を仄めかし続けたコロンビア代表FWに対してはファンから大きな反発が寄せられることが多数あり、エメリ監督が会見で矢面に立って若者を擁護して騒ぎを落ち着かせていた。

 これに対してクラブの広報も批判の対象にさせないように対策を講じて、本人の口から言葉を発する機会を極力制限したのだ。そもそも話すことが得意ではないこともあったが、彼がクラブの年間最優秀ゴールとなるボレーシュートやバイエルン・ミュンヘン戦で決勝点を決めても、クラブ公式のインタビューには登場せず。昨年11月に新契約を結んだ際もコメント1つ掲載されなかった。

 今季前半戦のデュランの活躍はクラブ広報の対策とエメリらスタッフ陣の細かいコミュニケーションが実を結んで、コミットメントが増したことによるものが要因として大きかった。

 ラッシュフォードに対しても、この成功例を参考にしていると予想しており、恐らく今後どれだけ活躍したとしても、今季終了まではインタビューに登場することはないだろう。

 ピッチ内外の環境が整ったことで完全復活の兆しをみせたが、彼には「持続性」という大きな課題が残されている。現状はアストン・ヴィラ以上に彼の仕事場に適している環境はなく、来夏にワールドカップが控えていることも含めて高いモチベーションを維持することができると期待したい。

(文:安洋一郎)

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