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アルビレックス新潟は3分3敗の19位という成績で、インターナショナルマッチウィークによる中断期間を迎えた。樹森大介監督の下で戦う今季の新潟は、昨季とどう変わっているのか。前編ではここまでの戦いを振り返りながら、表出してきた課題と向き合う。(文:らいかーると)
著者プロフィール:らいかーると
1982年、浦和出身。とあるサッカーチームの監督。サッカー戦術分析ブログ「サッカーの面白い戦術分析を心がけます」主宰。海外サッカー、Jリーグ、日本代表戦など幅広い試合を取り上げ、ユニークな語り口で試合を分析する人気ブロガー。著書に『アナリシス・アイ ~サッカーの面白い戦術分析の方法、教えます~』『森保JAPAN戦術レポート 大国撃破へのシナリオとベスト8の壁に挑んだ記録』がある。
アルビレックス新潟を分析。樹森大介監督に与えられたミッションは…
Jリーグを分析しよう! の2025シーズン第二弾はアルビレックス新潟です。第一弾の柏レイソルが記事を出した時点で首位だった事実に対して、アルビレックス新潟は、まさかの19位で最下位周辺を名古屋グランパスとさまよい続けています。柏の次は新潟を書きますね! と編集部に告げたときには19位で迎えるとは夢にも思っていませんでした。なんてこった。
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今季の新潟は、監督に樹森大介を招聘しました。水戸ホーリーホックのヘッドコーチを監督に迎える大決断は、多くの注目を集めています。同じ監督が席替えを繰り返しているだけやんけ! と叫ばれることの多い監督人事において、ネームバリューや経験をさておき、監督にふさわしいと考えた人を愚直に連れてくるのだ! という新潟のスタンスは一石を投じるものでした。率直に言って、成功して欲しいです。
昨シーズンを簡単に振り返ると、松橋力蔵監督に率いられた新潟はYBCルヴァンカップで惜しくも準優勝。リーグ戦は最終節で残留を決めるギリギリでいつも生きているようでした。アルベルから監督を引き継いだ松橋はJ1昇格に貢献し、有力な選手を海外移籍まで育てるなど実績は十分です。
一方でアルベルから引き継いだ欧州の香りを漂わせたチームは、段々とボール保持に尖りを見せるようになっていきます。欧州の香りというよりは、独自進化を遂げていったチームは、基本的にはボール保持のデータで世界と勝負できるようになりました。
ただし、試合終了後にリードしているチームが勝つサッカーにおいて、パス数が世界最高峰だとしても、負けが続くようでは方向性が間違っているとなります。それでも10回試合をして8回は勝てそうじゃないかと目の前の試合を分析した場合は別です。スペイン代表の栄華はこの部分の分析を間違えなかったことにあると言われています。
樹森監督に与えられたミッションは、残留争いから安定的に抜け出すために尖りすぎた部分の修正と、新たな習慣作りといったところでしょうか。問題があるとすれば、独自進化したサッカーの主役が松橋監督ではなく、選手たちによって作られたものだとすると、地味に厄介なことでしょう。ネガティブな意味で使われることの多い「自分たちのサッカー」ですが、自分たちのサッカーに誇りがなければいくら論理的なサッカーでもうまく機能しないことが世の常です。にんげんだもの。