「自分は何なのか」。自分自身への問いに出した答え

　続けて、「ボール奪取は自分の特長だと思ってますが、怪我もあったりでなかなか出せなかった。でも、自分の武器はそういうところなんだと改めて感じた。予測した守備とか、その一歩目とか、そういうところを見せられて、なおかつ得点につながったというのは自信になるし、自分の進むべき道とか、やるべきことが分かった」と語る。

　終盤には、京都の左サイドを破られたところからボックス内のカバーに入った福岡慎平が乾を倒してしまい、PKで1点差に迫られた。

　それでも、清水の勢いを最後まで出させなかったことが勝利に繋がったと川﨑は言う。無論、その中心にいたのは川﨑自身である。

「1点取られて守り切ろうとしてしまうと、自分たちがどうしても重くなってしまう。そこで守り切ることも大事ですけど、そこから自分とペドロで押し上げられるかを考えていた。途中出場で乳酸が溜まってきつかったですけど、押し上げるとかセカンドボールのために1歩ラインを上げる、後ろに吸収されないことを意識しました」

「スタメンで出て勝たせるのが一番だし、長いサッカー人生、うまくいかない時期や自分を見失う時期もあるかもしれないですけど、やっぱり自分は何なのか、自分のストロングポイントは何なのか、を見失ってはいけない。

　あとは、試合に出られなかったとしてもチームのために頑張る選手を何人も見てきて、米本（拓司）くんがまさしくそうだと思ってる。怪我とか年齢とか何も言い訳せずに、毎日戦ってる姿を見ているので、彼のこともリスペクトしながら、サンガタウンで切磋琢磨しながら、もっともっと突き抜けていきたい」

　清水戦はその米本から引き継ぐ形でピッチにたち、効果的なボール奪取と起点のプレーで、結果的に決勝点となるゴールに繋げた。

　ここから本当に京都を勝たせる存在となるために、そして、再び日本代表という高みに行くためにも、川﨑のさらなる活躍に期待していきたい。

（取材・文：河治良幸）