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コラム 1週間前

三笘薫のゴール量産には訳がある。まるでケモノのよう? 背骨をエンジンにした躍動感あふれる速さの秘訣【動作分析コラム】

シリーズ:動作分析コラム text by 三浦哲哉 photo by Getty Images

背骨は首までしっかり連動しているかも重要

 サッカーは競技特性上、ボールや局面を見ながら状況判断をして速く走る必要があり、首を素早く振ったり進行方向以外に顔や目線を向けながら走るシーンも多くあります。

『サッカー的なスプリント』とでもいうべき、認知をするために上半身を捻ったり反ったりしながら速く走るスキルは、重要な能力の一つになります。いわゆる体幹の強さやしなやかさが要求されるプレーですが、やはりそのような局面でも『さすが三笘!』と思わせるような、ハイレベルなパフォーマンスを見せます。

 前述のチェルシー戦のシーンに戻ると、前方のスペースと相手の状況を把握したあと、ゴールキーパーから出たボールの軌道を確認するため、首を右側に捻りながら前向きにスプリントしていきます。そこから、頭上に近づいてくるボールを追尾するように胸郭をグーっと後ろに反らせて顔を上に向けることによって、トラップする瞬間までボールをしっかり見ることができています。

【動画】 ブライトン対チェルシー トラップからのゴール


参照元:X

 フィジカルトレーニングの成果もあってか三笘は年々胸板の厚みが増していますが、その内側の骨組みにあたる胸郭が柔らかく、背骨は首(頚椎)までしっかり連動し、肋骨も上の方までしなやかに動かせるのが特徴的です。

 さらには、肩が力んで上がらないので、肩甲骨を自在に使うことも可能になります。右脚でトラップする局面を見ると、空中でちょうど翼のように肩甲骨から腕を後ろに広げることで、バランスをとりながら着地する準備をしています。

 舞い降りるようにスタッと軽やかに着地した後は右へ方向転換していきますが、トラップ後の2〜3タッチ目で、ちょうど左サイドからカットインするような形で右脚のアウトサイドで持ち出してスムーズに加速できる体勢に持っていけた時点で勝負あり、というプレーだったと思います。

 他にも、三笘のトラップの上手さが際立つシーンとしては、左サイドで縦方向にスプリントしながら、ロングフィードを右脚のアウトサイドでコントロールしてそのまま駆け上がっていくプレーが挙げられます。

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