三笘薫 最新ニュース
彼のすごさを改めて説明することは不要だろう。三笘薫はそれほどまでに世界的な選手に成長を遂げた。最近はよりゴール方向への動きも多くなった印象だが、プレーの幅を広げられるのにはそれ相応の理由がある。三笘には特出した身体能力と認知機能が備わっており、それを可能にしているのは背骨の動きの連動にあるようだ。（文・三浦哲哉）
プロフィール
三浦哲哉（みうら・てつや）
1980年4月25日生まれ、岩手県出身。理学療法士、日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー。順天堂大学、専門学校社会医学技術学院卒。整形外科クリニックでの理学療法士業務と並行して、サッカーを中心にトレーナー活動を経験。タマリバクラブ（ラグビー、2005〜08年）、慶應義塾体育会ソッカー部（10〜20年）、全日本大学選抜（13〜15年）、ユニバーシアード男子日本代表（15年）でトレーナーを務め、その経験を活かして『サッカーフィジカルのプレーモデル』（2024年）を著した。
三笘薫は猫よりも犬が好き
【写真：Getty Images】
今季のイングランド・プレミアリーグ第25節のチェルシー戦。ゴールキーパーのバルト・フェルブルッヘンからのロングフィードをスプリントしながらピタッとコントロールし、相手を交わして鮮やかに決めた三笘薫のゴールは、伝説的なプレーとして今後も語り継がれていくのではないでしょうか。
高性能のGPSを搭載しているかのような優れた空間認知能力と球際での華麗な身のこなしは、飼い主が後方から投げたディスクを追尾するように猛然と追いかけ、落下点を正確に予測してジャンプ一番パシッとキャッチ！ というフリスビードッグ大会の1シーンを彷彿させるものでした。
奇しくも、ちょうどチェルシー戦の同日に配信されたプレミアリーグ公式YouTubeの企画（Overrated or Underrated?! Premier League Stars Give Their Hot Takes ）でのインタビューによれば、三笘は猫よりも犬の方が好きなのだそうです。
イヌやネコをはじめとした四足の脊椎動物（哺乳類）は、背骨全体をしなやかに伸縮させながら四肢をのびやかに使って大地を颯爽と駆け回ります。地上最速を誇るチーターや人馬一体でターフを駆けるサラブレッドが、背中を波打つように動かして気持ちよさそうに疾走するスロー映像を見たことがある人も多いと思います。
このような上半身の動きは、トップアスリートである三笘のプレー中の身体の使い方との共通点でもあり、彼特有のしなやかで躍動感あふれる速さの土台となっています。
