「それは昨年からずっと感じていること」
三國や佐藤、河面、原、野上結貴、宮と個人能力の高いDFは数多くいるが、苦境に陥った時に声を出して全体を統率できる存在がいなければ、 肝心なところでバラバラになってしまう。それが守りの不安定さにつながっているとも言えそうだ。
「それ(ディフェンスリーダーの不在)は昨年からずっと感じていること。やっぱりGK含めて後ろで鼓舞できる選手がほしいというのは正直な部分です。
シン(中谷進之介=ガンバ大阪)やマル君(丸山祐市=川崎)がいなくなって、みんな頑張ってくれてますけど、もっと声を出さないといけないし、いい方向に持っていける選手が必要だと思う。僕らも若手を伸ばしていく役目があるので、彼らに自信を持たせながら成長させていかないといけないと感じます」
そう語る和泉は、三國や河面らを献身的にサポートしていく構えだ。
現在の最終ラインの面々が2010年のJ1制覇の原動力となった田中マルクス闘莉王のような“闘将”になってくれれば、今の停滞感や悪循環は払拭できるはず。当時、右サイドバックを務めていた田中隼磨も「闘莉王にいつも怒鳴られていた」と苦笑していたが、それほどピリピリした空気感があったから、名古屋は頂点に立てたのだ。
2013〜16年、そして2023年〜今季と7年間も名古屋でプレーしている和泉は、今やチームの最古参プレーヤーの1人。2010シーズン優勝経験者の楢崎正剛GKコーチや玉田圭司コーチとも共闘していて、王者のメンタリティを継承できる数少ない人材である。だからこそ、もっともっと厳しくなっていいのかもしれない。
今季はシャドウや左ウイングバックと幅広いタスクを任されている分、それをこなしつつ、チームを統率することはやはり難易度が高い。それを乗り越え、彼がチームをポジティブな方向へと導いてくれれば、名古屋の流れはおのずと変わっていくだろう。
「昨年も序盤は厳しかった。みんなで助け合いながら戦って、(YBC)ルヴァンカップで優勝するところまで辿り着いた。そのことを今一度、思い出すことが大事だと思います」と背番号7をつける男は自身に言い聞かせるようにコメントしていた。
長谷川監督の去就問題も取りざたされているが、3月20日のルヴァンカップ1回戦・テゲバジャーロ宮崎戦までは時間がない。当面は現体制を維持し、カップ戦に向かうことになりそうだ。
この一戦でディフェンディングチャンピオンとしての意地と誇りを見せつけることができれば、2週間後のリーグ戦に向けて浮上のきっかけをつかめるはず。和泉には悩める名古屋の牽引役として存在感を高めてほしいものである。
(取材・文:元川悦子)
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