「何かおかしいな」。河原創の中に眠っていた苦悩
昨年夏にサガン鳥栖から川崎に加入した河原は、すぐさまレギュラーとして活躍。しかし次第にベンチでキックオフを迎える試合が増えていった。
「何かおかしいな」
自身でもわかっていたが、頭の中でぼんやりとしていたことを明確に提示してくれたのが前指揮官だった。
「加入したばかりのころは思い切りプレーできていたんですけど、チームのやり方がいろいろわかってきた中で、最近は少し周りに合わせてしまっている。それをオニさんから言われて、はっきりと気づけました」
技術や判断などに高い基準を持ち、強くこだわっていた指揮官だが、あくまで自分の良さを出すことを求める。
だから河原の苦悩を見抜いていた。そして自分の起用法を決める監督に言われたことで、自分の良さを出そうと考え直したことに加え、気持ちが楽になった。
「とはいえ、あと1週間くらいでシーズンは終わっちゃうんですけどね」
そう苦笑しながらも、河原はうれしそうだった。
そしてシーズンとともに指揮官が変わると、求められるプレーや基準も変わった。
昨季はできるだけショートパスをつなぎながら相手を崩していくことが前提だったが、今季はロングボールを使って相手を押し込んでからボールを支配することが増えた。
「良し悪しじゃないんですけど、今はすごくいい方向に行っていると感じます。去年の最後のほうは近いところを見ていました。今はより遠くから選択できるようになってきましたし、今日のゲームもサイドチェンジを何本も使いながらプレーできていたので、少しずつ良くなってきたと思います」
プレー面以外にもう1つ、気になる昨季からの変化があった。