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Jリーグ 2週間前

「この年齢になって…」横浜F・マリノス宮市亮は身も心もSBに染まりつつある。新たな可能性を切り拓く覚悟と本音【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤井雅彦 photo by Getty Images

4得点の攻撃陣に対して、「うらやましいよりも…」

「スタンドが湧いているのかわからないくらい、クロスを止めるのに精いっぱいでした(苦笑)。でも守備も楽しいと思えているし、1失点してしまったけど最少失点で抑えられたのが楽しい。どこの立ち位置にいるべきなのか映像を見返したいし、相手がボールを持った時の体の向きも教わっていきたい」

 経験の浅いポジションでも、チームのために戦う姿勢は何も変わらない。宮市の人間性を知っているチームメイトとの信頼でプレーが成り立っている。

 奮闘ぶりを称えたのは守護神の朴一圭だ。

「亮は愚直に頑張ってくれていて、こちらのコーチングを聞いて素直にやってくれる。推進力があってヘディングも強いから、本当は守備だけじゃなくて攻撃参加させてあげたい。経験が少なくても、堂々とやっていて頼もしい。ビビらずにやってくれている」

 チームは4得点を奪い、それ以外にも多くの決定機を作り出した。その様子を後方から眺めていた心境とは――。

「うらやましいよりも、心強かった。とにかく『決めてくれ』という気持ち。DFのメンタルですよ」

 勝利のホイッスルが鳴り響き、まずタッチを交わして抱き合うのは守備の選手たちになった。

「勝った瞬間は、最初にジェイソン(キニョーネス)のところに行ったし、サンディ(ウォルシュ)のところに行ったし、パギくん(朴一圭)のところに行きました。前線の選手たちには『ありがとう』の気持ちです」

 身も心もサイドバックに染まりつつある。宮市亮32歳の新たな挑戦が始まった。

(取材・文:藤井雅彦)

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【了】
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