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コラム 4日前

クラウディオ・ラニエリはローマをどう蘇らせたのか。若手監督とは一線を画す、約40年のキャリアがもたらす“経験”【コラム】

シリーズ:コラム text by 佐藤徳和 photo by Getty Images

約40年の指導者キャリアの賜物。それは…

ディバラ
【写真:Getty Images】

「ディバラは今のサッカー界で最も自分に似ている選手だ。セリエAで他に似たタイプを見つけるのは難しい。パウロは、イタリア国内に限った話ではなく、本物の才能を持った選手。彼のような選手は、今では世界に5、6人しかいない。そのうちの一人が(ラミン・)ヤマルだ。ディバラは今、コンディションが良く、苦しむことなくプレーできているし、戦列を離れることもない。セリエAではディバラが最も優れた選手だ」

 ディバラは、今ではすっかり耳にしなくなってしまったファンタジスタの生き残りだ。誰もが思いつかないような、創造性あふれる一瞬の閃きで、違いを生み出し、ボールを持つ度に「今度は一体何をするのか?」と期待を抱かせる。そういった機会は、ラニエリが指揮官に就任してから、一層強まった。ディバラはスペイン紙『マルカ』のインタビューでこのように語っている。

「ラニエリ監督は試合中、僕に大きな自由を与えてくれている。もちろん、試合の流れをコントロールしたり、守備を助けたりするように求められることもあるが、攻撃では相手の弱点を突く動きが自由にできている」とラニエリから「自由な動き」を確約されていることを明かしている。

 ファンタジスタは、動きが制限されてしまうことで、輝きを失ってしまうことが少なくない。多くのファンタジスタが、監督からの制約に苦しんできた。40年近くに及ぶ指導者のキャリアの中で、19チームを指導してきたラニエリの経験が、ディバラにも再び輝きをもたらし、そして、チームを立ち直らせたと言えるだろう。修理工は、ファンタジスタの取り扱い方も心得ていたのだ。

 4位ユーヴェとの勝ち点差は6となり、CLも狙える位置にまで浮上してきた。しかし、CL出場権奪還の道のりは極めて険しい。

 これから、そのユーヴェとの直接対決があり、その直後には5位ラツィオとのローマ・ダービーを迎える。そして終盤戦では、首位インテル、8位フィオレンティーナ、初のスクデットに野心を抱く3位アタランタ、9位に沈むものの、コッパ・イタリア準々決勝で苦杯を嘗めた相手、ミランといった強豪との連戦が控えているからだ。

 5連勝の相手は、ヴェネツィア、パルマ、モンツァ、コモ、エンポリといったいわゆるプロヴィンチャのクラブから勝ち取ったもの。決して難しいミッションではなかった。これからが、ラニエリの真価が問われる本当の戦いだ。

 今季限りでの監督退任を宣言しているラニエリは、18/19シーズン以来となるCL出場権をローマにもたらし、指導者としての有終の美を飾ることができるだろうか。

(文:佐藤徳和)

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【了】

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