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コラム 4日前

クラウディオ・ラニエリはローマをどう蘇らせたのか。若手監督とは一線を画す、約40年のキャリアがもたらす“経験”【コラム】

シリーズ:コラム text by 佐藤徳和 photo by Getty Images

「ロレンツォのような選手に教えることは何もない。ただ彼に必要なのは…」

 ラニエリの訴えにより、サポーターからの怒号はすぐに終息。今では連勝街道を歩みだし、“パクス・ロマーナ”のような平穏な日々が訪れている。最も批判を浴びたカピターノは第19節開催の宿敵ラツィオとのローマ・ダービーで先制点を奪ったが、まだ本調子ではない。それでも第28節のエンポリ戦では、攻守で存在感を示し、完全復調の兆しを見せている。ラニエリはこう語る。

「彼がファウルを受けるときは、誰が見ても明らかなものでない限り、もはや笛を吹いてもらえない。ところが彼は、中途半端なファウルを受けると自から止まってしまう。だから私はこう言った。『絶対に止まるな、そこで耐え続けろ』と。彼に足りないのはそれだけだ。ロレンツォのような選手に教えることは何もない。ただ彼に必要なのは、自分の中の録音を巻き戻し、これまでの記憶を一旦消して、審判との向き合い方を変えることだけだ」

 こういったファウルへのリアクションは、ペッレグリーニだけに言えることではなかった。黒星が続いた頃、ローマの試合では、主審に選手たちが詰め寄るシーンが何度も見られた。決して気持ちの良いものではなかったが、モラルや規律を重んじるラニエリの指導により、こういった場面は今ではすっかり見られなくなった。

 ラニエリは、初陣となった2024年11月24日の第13節、アウェーでのナポリ戦では、4-4-1-1の布陣を採用。2025年2月2日のナポリとの第2戦(第23節))でも4-3-3の4バックで臨んだものの、それ以外の試合では、すべて3バックで挑んでいる。

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