喜田拓也はどうにかその状況を打破したかった
「どんな気概で臨むかは見せたいし、こういう状況だから見せられるものもあると思っている。たとえばトーナメントを勝ち進むにあたってのゲームの進め方もあるけど、自分たちの考えや姿勢は出せると思っている。チームで共有しているものでもあるし、ピッチにいる選手たちで出していかなければいけないこともある」
トーナメントを勝ち進むにあたってのゲームの進め方とは、たとえば慎重に戦いながら第1戦で奪った1点のリードを守ること。
しかしあらためてリードした状況で迎える第2戦の戦い方について問われた喜田は、話すテンポを上げて畳み掛けるように答えた。
「勝つだけ。1点取っても2点、3点といきますし、5点、6点と刺しにいくつもりなので。それだけです」
試合前日の時点で喜田のその言葉を鵜呑みにできたと言うと嘘になる。
今季のマリノスは7試合を終えて6得点。1試合平均1得点を下回る。複数得点は2-0で制したACLEリーグステージ MD8の上海上港戦のみだった。
特にJリーグではアルビレックス新潟を相手にキックオフから60分以上シュートを打てなかった開幕戦にはじまり、4試合でPKとCKから流れから2得点のみ。とても相手を圧倒するような戦いはできていなかった。
喜田はどうにかその状況を打破したかった。