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AFCチャンピオンズリーグエリート(ACLE)ラウンド16第2戦、横浜F・マリノス対上海海港が11日行われ、4-1で勝利したマリノスがファイナルステージ進出を決めた。怪我から復帰し、ベンチメンバー入りを果たした喜田拓也が紡ぐ言葉が、マリノスを成長させていく。(取材・文:菊地正典)
著者プロフィール:菊地正典
福島県出身。埼玉大学卒業後、当時、日本最大級だったサッカーモバイルサイトの編集・ライターを経て、フリーランスに。主にサッカー専門新聞『EL GOLAZO』の記者として活動し、横浜FC、浦和レッズ、ジェフユナイテッド市原・千葉、横浜F・マリノス、川崎フロンターレの担当記者を歴任。著書に『浦和レッズ変革の四年 〜サッカー新聞エルゴラッソ浦和番記者が見たミシャレッズの1442日〜』(スクワッド)、『トリコロール新時代』(スクワッド、三栄書房)がある。
試合後のピッチで喜田拓也が呟いた「もっとできたよ」
後半アディショナルタイムになっても喜田拓也は1人、ウォームアップエリアにいた。
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交代枠は使いきっている。自分の出番はない。2戦合計5-1。点差も十分だ。それでも喜田はピッチを横目に体を動かし続けた。
試合終了の笛が鳴る。それは横浜F・マリノスのAFCチャンピオンズリーグエリート準々決勝進出を告げる笛でもあった。
その瞬間、喜田はピッチを見つめながら呟いた。
「もっと、もっと。もっとできたよ。もっと点取れたよ」
あらためて目を凝らす。
喜びをあらわにする仲間はいない。確かに試合終了の瞬間に喜びを爆発させるような展開ではなかったが、ピッチ内のチームメイトに頼もしさを感じていた。
「当たり前のように越えていきたいし、越え続けないとクラブの力になっていかない」
試合前日の10日、アジアのベスト16の壁について問われた喜田は、語気を鋭くそう話していた。
簡単に越えられる壁ではない。そんなことは喜田自身が誰よりも分かっている。
これまで何度も挑戦しながら跳ね返され続けた。越えるまでにどれだけの悔しさや苦しみを味わったか。そしてようやく前回大会、たった1年前に越えたばかりの壁だった。
それでもあえて、「当たり前」であるべきだと考える。一度越えた壁。そこはもう目標ではない。毎回苦労して越えていくのか。それとも当たり前のように越えるのか。その違いは自分たちの基準も周囲かの評価も大きく変える。
喜田はさらに言葉に熱を込めていく。